再生を試みた玄関建具がやさしくこの地に馴染む。引戸の把手は前家の桜の木を伐り、手に馴染む形に加工したもの

万人にやさしいスロープ。季節の樹々が迎えます

豊かな景色が望める玄関

伸びやかなLDK。上部はギャラリースペースとして余白を残しています

寝室からダイレクトにアクセスできるレストルーム。あったらいいなを取り入れながら

来客に配慮したレストルーム

カタチを変え寄り添いつづける松の手摺。以前は棟木として役割を果たしていた

歩道に面して樹々を植える

南に面した格子、冬は開け放ち太陽の恩恵を受け、夏は閉めて陰影を楽しむ

愛犬専用の出入口

  トラの家
都飛鳥、国の特別史跡に指定されたキトラ古墳のふもとに位置し、観光客が通る道筋に建つ、茶道教室付き兼用住宅です
前面道路が北と東にあり、敷地に立つと南西には小高い丘が望めます
この豊かな景色を取り込みたい
誰しもがこの地に立つと感じ得る事だと思いました
敷地条件としては歴史的風土保存並びに風致地区、景観計画区域等で外壁の色は白・黒・茶系と制限されており、屋根はいぶし瓦のみが使用出来、緑化率は敷地の20%以上
制約の中、目指したのは『かろみ』でした
歴史ある文化を受け止め、その上でひょうひょうと立っていたい
そんな思いがありました
建物の高さを最小限に抑え、重心を低く保つ
また、周囲の環境に溶け込むよう下屋部分の軒裏は吉野杉を採用
軒を深くとると垂木の背が必要となり軒先が太く重くなりますが、鼻隠しを二重にしたり、一文字瓦を起用することで軽やかにみせる工夫を施し、樋もシンプルなものを選定
茶人である住まい手は終の棲家として他府県からの移住となります
旧家より思い出の詰まった建具類は引き続き利用したいとの要望を受け、性能を重視する生活圏と、既存の建具(玄関建具、木製窓等)を使用した和室圏との棲み分けを図りました
動線は外回り、内回りどちらも回遊出来るようになっています
植栽は可能な限り移植し、移植できない100年桜は枝を切って玄関の把手に加工
また、かつての棟木は敷居・手摺へと形を変え想い出を繋げる作業を行いました
道路に面して様々な材種の植栽が並びます
道行く人にも四季を楽しんでもらいたいという主の希望です

用途    兼用住宅(茶道教室付き)
場所    奈良県高市郡明日香村
敷地面積  470.44㎡
建築面積  171.73㎡
延床面積  206.17㎡
構造    木造
階数    2階
竣工    2021年
気密    生活圏:C値 0.8㎠/㎡
断熱性能  生活圏:UA値 0.48W/㎡k 
      和室圏:UA値 0.66W/㎡k 
地域区分  6地域
  

登下校の子供たち、散歩道、豊かな景色が記憶を詰め込んだ書斎(画面奥)の窓から望めます

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